●少女歌舞伎&ライブ31日まで
HKT48が舞台演劇に挑戦する「HKT48指原莉乃座長公演」が、福岡市の博多座で絶賛上演中だ。博多少女歌舞伎「博多の阿国の狸(たぬき)御殿」と、舞台用にアレンジされたライブ「踊る!たぬき祭り」の2部構成の舞台は、4月に東京・明治座で上演されたもの。由緒正しきステージで積んだ貴重な経験の成果を、新キャストも含め存分に発揮している。31日まで、全15公演。そのスタートダッシュとなった、15日・初日の様子をリポートする。(古川泰裕)
ちょんまげの14歳
▼午前10時半
一日の始まりは、囲み会見から。演出の横内謙介氏と指原莉乃座長に加え、HKT48の出演メンバーが全員参加。会場が一気に華やいだ。
会見の主役は、博多座から加わった新キャストの神志那結衣と秋吉優花。座長以上に目立つ、ど派手ないでたち。報道陣からも質問が集まる。神志那は襟元を「シャンプーハットみたい」といじられながらも、「男役なので、声を低くする練習をたくさん積んできました」と意気込み十分。ちょんまげ姿が気になる秋吉は「14歳ではげるとは思わなかった…」と会場を笑いの渦に包んだ。
▼午前10時40分
会見終了後、客席へ移動。途中、場内に設けられた団子屋の軒先で、自身の写真パネルと記念撮影する植木南央が。報道陣も立ち止まって様子見。なぜか植木の単独囲み会見が始まる。
泥棒猫が花道に…
▼午前11時15分
関係者と報道陣に公開するゲネプロ(通し稽古)スタート。出演しない十数人のメンバーと、出演者の親族らが客席で見守る。
幕が下りたままの舞台に2人の役者が上がり、前説が始まる。舞台独特のかけ声、「大向こう」のレクチャーだ。黒子姿の植木と本村碧唯が登場し、打木に合わせて見えを切る。前説を担当するメンバーは公演ごとに変わるので、複数回観覧に訪れる人も油断禁物だ。
前説が終わり、会場が暗転。「ドロボー!」。会場に響く大きな声に驚いていると、盗みを働いた泥棒猫が花道に登場。猫が変化をとくと、主人公のタヌキであるキヌタ(指原)が姿を現す。しらばっくれて難を逃れるキヌタのもとに、矢吹奈子演じる妹分・おはぎと、用心棒のポン太が駆け寄る。明治座では酒井敏也が演じたポン太だが、博多座ではモト冬樹。脇を固める実力派の俳優陣が、舞台に安定感をもたらしている。
続いての登場は、京の都で人気を博す「博多の阿国一座」。ヒロイン・阿国を演じる宮脇咲良を中心に歌い踊る姿は、某歌劇団をほうふつとさせる華やかさだ。
「阿国一座の舞台をお忍びで見に来た」太閤秀吉が登場すると、いよいよ新キャラ・秋吉優吉郎の出番。どこかとぼけた秀吉の配下を演じる秋吉は、初めてとは思えない役者ぶり。終盤で繰り出す「顔芸」は、本人もおすすめの見どころだ。
もう一人の新キャラ、石田三成も登場。初めての芝居に挑戦した神志那が、役の濃さをものともしない名演を見せる。低い声、大げさな立ち居振る舞い。事前に何も聞いていなければ、“本職”の俳優が演じているのではないかと思ってしまう。新境地を開いた彼女の成長は、間違いなく最大の収穫の一つだ。
他にも、宮脇咲良の表情で見せる演技、兒玉遥と穴井千尋のキスシーン、モト冬樹のワンマンショーなど、必見の“仕掛け”がたくさん。何度足を運んでも、飽きることはなさそうだ。
本職顔負けの演技
▼午後1時
第1部が終了し、20分間の休憩。本番では、この間にトイレに行ったり、軽食をいただく。場内には、食欲をそそる弁当や、お土産がずらり。いつものコンサートでは、味わえない楽しみだ。
▼午後1時20分
指原座長が「川の流れのように」を歌い、第2部開始。タヌキ一族と阿国一座のコラボレーションでおくるライブは、秀吉の合図でスタンディングOKに。客席では、ドラフト2期生の村川緋杏と今村麻莉愛が元気爆発。11歳の今村の愛らしさに、相好を崩すメンバーが続出した。
▼午後4時
開場。待ちわびたファンが続々会場入り。今のうちにと、弁当や飲み物を買う人が列をつくる。
初日から満員御礼
▼午後5時
開演。明治座を観覧した人も多いのか、「待ってました!」や「日本一!」のかけ声もばっちり。モト冬樹のアドリブも飛び出し、客席に笑いが起きる。第2部では指原がセンターを務めるAKB48の「ハロウィン・ナイト」も披露。格式ある博多座が、あっという間にディスコに様変わりした。客席とステージが一体となる「いつものHKT48のライブ」の楽しさもたっぷり。最後は緑色のペンライトに包まれながら「メロンジュース」で幕を閉じた。
▼午後8時
終演。1400人、満員御礼の初日は大成功で幕を閉じた。明治座で「一皮むけた」少女たちは、博多座でさらに殻を破ろうとしている。地元で刻む一夏の舞台を経て、彼女たちがグループに持ち帰るのは、さらなる成長の可能性。期待せずにはいられない。
◆公演あらすじ
豊臣秀吉が天下統一を成し遂げ、太閤(たいこう)として君臨する時代。京都では、博多からやってきた娘歌舞伎「博多の阿国一座」が、芝居小屋を立てていた。その人気っぷりは、まさに現在のアイドルグループ並み。一座の花形「阿国(宮脇咲良)」にあこがれを抱くたぬき一族のキヌタ(指原莉乃)は、妹分のおはぎ(矢吹奈子)を連れて、阿国の芝居に見入っていた。
一方、キヌタの仲間・お黒(多田愛佳)らは、極道たぬ蔵一家の親分・たぬ蔵(岡森諦)のため、資金の荒稼ぎ中。若い娘に化けて色香を使い、若い男たちから金を巻き上げていた。芝居小屋から帰ってきたキヌタに、お黒たちは「この大事なときに」と詰め寄るが、反発したキヌタは、一家の元を飛び出してしまう。キヌタと、彼女を追ったおはぎ、用心棒のポン太(モト冬樹)は、あこがれの阿国一座にもぐり込もうとオーディションを受けるが-。
=2015/08/24付 西日本スポーツ=
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